- 「やせたい」、「やせよう」・・・。簡単にいいますが実行するとなると、なかなか一朝一夕ではいかないもの。それにそもそも「やせる」とはどういうことなのでしょうか?単に体重が減ればそれでいい? そういうわけではないですよね。やせる。それは体の余分な脂肪(体脂肪)を減らすこと。ここでは痩せるメカニズムについて考えていきたいと思います。
- 体重を減らすのではなく体脂肪を減らす
- ヒトのからだはおよそ50~60%の水分と20~30%の筋肉や骨、そして15~25%の脂肪でできています。ですからサウナでたくさんの汗をかいて体重が減ってもそれは単に体内の水分が減っただけで余分な脂肪は減っていません。むしろ3つの割合のバランスが崩れて健康を損なう原因になってしまいます。そして体脂肪率という言葉を聞いたことがあれば、肥満もこの三つのバランスが崩れた状態であるということがわかっていただけるのではないでしょうか。
- 肥満とは、食べ過ぎや運動不足などによってこの脂肪の割合(体脂肪率)が正常値を超えた状態のことで、生活習慣病のもとになります。逆に見た目細くて体重が軽くとも、体脂肪率が高ければそれは肥満なのです。そして逆にやせるというのは、体脂肪を正常な値にもどし保つことです。体脂肪を減らした結果体重が減れば、それはやせたことになるのです。筋肉が多いスポーツ選手は体重が多くても肥満ではない、ということからもわかるように体重 はあくまで目安程度に考えましょう。ダイエットの目的は体重を減らすことでなく、余分な体脂肪を取り除くことにあるのです。
- 脂肪と肥満の種類
- 体脂肪は、食べ物から得た糖質や脂肪分が消費しきれなかったものです。小さいときの体形によって細胞の数が決定されるので、子供のころに太っていれば脂肪細胞の数は人より多い体になっているのです。思春期あたりで脂肪細胞の数は決定し、数は減らすことはできなくなります。体脂肪と肥満は2種類のタイプに分けることができます。
- 皮下脂肪型肥満(主に若い女性に多い)
お尻、下腹、太ももなど下半身を中心に肥満しているタイプ「洋ナシ型肥満」といいます。妊娠や出産時のエネルギー源となるため、あまり減らさないほうがいいのですが、過度な皮下脂肪はやはり少し減らしてシェイプアップしなければいけません。 - 内臓脂肪型肥満(主に中年男性に多い)
おなかを中心に上半身が肥満しているものを、「リンゴ型肥満」といいます。ビール腹などと言われているのがまさしくそれで、中年男性に多い太り方です。リンゴ型+内臓脂肪型の組み合わせの場合、高血圧や高脂血症、心臓病、などの合併症、生活習慣病になる危険性が高まります。 - なぜやせられないのか?
- なぜ日々の生活の中でなかなかやせることができないのでしょう・・・。それは「摂取するエネルギーよりも消費するエネルギーが少ないから」です。暮らしのなかでエネルギーを消費することを基礎代謝といいます。じっとしているだけでもエネルギーを消費します。しかし基礎代謝で消費された程度のごくわずかのエネルギー分は、毎日の食事でいともカンタンに補充されてしまい、これだけではなかなかやせられないのです。
- やせるために
- まずおさらいしてみましょう。やせるための条件は3つでしたね。
- 使ったエネルギー以上の食べ物を食べないこと
・・・簡単なようですが、思っている以上にむつかしいことですよね。
甘いものやアルコールなど、まわりには誘惑がいっぱい。しかしここはガマンです。
これを守るか守らないかでダイエットが成功するかどうかくらいの気持ちでのぞみましょう。
運動
・・・体脂肪と糖質を分解する有酸素運動、基礎代謝を高め太りにくい体をつくる無酸素運動、
そして体をほぐし、この2つを行いやすくするためのストレッチ。無酸素運動で太りにくい体をつくってから、
必要以上に摂ってしまったエネルギーを燃焼する有酸素運動を併用していくのが、よい運動方法です。
生活改善
・・・毎日を規則正しく、決まった時間に食事をし、決まった時間に眠る。間食や夜更かしはしな い、など規則正しく自分の生活をコントロールしていくことが重要となります。 - やせる食事とは?
- 痩せるために食事は重要な要素ですが、では、痩せる食事とは
どのようなものでしょう。痩せる食事。それは端的にいうと
「糖質と脂肪を抑えること」です。肉や油料理などを食べて余分に摂取された
エネルギーは、そのまま体脂肪になるので当然摂りすぎはいけません。
では糖質はなぜか?近頃”低インシュリンダイエット”が話題ですが、
インシュリンとはすい臓から分泌されるホルモンのことで、血液中で増加した
糖質を体脂肪に合成して減らして血糖値を一定に保つつとともに、
体脂肪の分解を抑制します。つまり糖質を摂りすぎるとその糖質は体脂肪に
なってしまうのです。低インシュリンダイエットとはインシュリンの分泌の
少ない食事を摂ることで体脂肪の合成をさせないという方法なのです。
糖質はごはんやパンなどの主食にも多く含まれていますが、
だからといって主食を一切食べないような過度なダイエットは健康を
損ねる原因になってしまします。
主食に含まれる糖質は体内での吸収も少なく良質なものですので
安心して下さい。むしろすぐに体内に吸収される砂糖や果糖を含む
お菓子や果物のほうが危険です。ポイントは糖質や脂肪を控えめに、
バランスのよい食事です。 - その他気にすべき食生活について。
- 規則正しく食べる
・・・基本は1日3食を規則正しく。ドカ食いや間食は控えることがダイエット成功への第一歩です。
朝食はしっかりとる
・・・朝食をとらないと体温が上がらず、脳に栄養素が行き渡らないため、体も頭も働きが鈍く なってしまいます。また、食事を抜くと胃や腸の消化や吸収力が高まり、次の食事でよりたく さんのエネルギーを取り込もうとするので、かえって太りやすくなる結果に。和食メニューにす れば、栄養バランスもよいでしょう。
食事の配分
・・・「朝食5:昼食3:夕食1」くらいの配分が理想的です。
一日30品目
・・・糖質を55~60%、たんぱく質を15~20%、脂質を20~25%でとり、野菜を300g以上。一日30品目を目安にしましょう。
薄味にする
・・・塩分の摂りすぎは食べすぎにもつながりますし、高血圧の原因にもなります。健康のため にも薄味に。塩分の摂取量は1日10g以内が目安です。だしをきかせたり、レモンをかけたり、 香辛料などをうまく使いましょう。
低カロリー、高栄養素
・・・牛肉や豚肉なら低脂肪で高タンパクのもも肉やヒレ肉。鶏肉は、もも肉や胸肉は皮のつい ていないものを選ぶこと。ささみはもっとも低カロリーですから、ダイエットにピッタリです。魚な らカロリーの低い白身魚やえび、たこ、貝類がおすすめ。豆腐や納豆、油揚げなど、大豆を使 った加工品も高タンパクで低カロリーです。 副菜として毎日取り入れたいのは、海藻やきのこ、こんにゃくなど。豊富な食物繊維は、満腹感 を得やすい食品でもあるので、これらの食品をじょうずに取り入れていきましょう。
ゆっくり噛んで食べる
・・・食欲をコントロールしているのは大脳の視床下部にある満腹中枢と摂食中枢と呼ばれる 器官で、満腹中枢が20分後に「もうおなかいっぱいだ」と信号を出すと、今度はその信号を受 けた摂食中枢が食欲を抑えにかかります。「ひと口20回以上噛む、1回の食事にはおよそ30 分かける」を目安に。 - やせる運動とは?
- 基本は3種類の運動を併用して行うこと。3種類の運動とは体についた体脂肪と糖質を燃焼させる「有酸素運動」と体内の糖質をエネルギーとする「無酸素運動」、そしてこの2つをこなすための準備としての「ストレッチ」です。
- 有酸素運動とは、呼吸をして体内に酸素を取り込みながら行う運動のことで、ウォーキングや速歩き、
サイクリングや水泳などがあげられます。有酸素運動では体内に取り込まれた酸素が、
体脂肪と糖質を分解します。この一連の代謝活動が起こるのには平均15~20分くらいかかります。
つまり脂肪が燃えるまで最低15分は運動し続けなくてはいけないことになります。
でもウォーキングのような有酸素運動なら体力にあまり自信のない人でも気楽にすることができますよね。
何よりも重要なのは継続することです。続けていくことで心肺機能も向上するので、最初は苦しくても、
続けていくようにしましょう。 - 無酸素運動とは、瞬発力を利用して行う運動、たとえば重量挙げや短距離走など、
瞬間的にグッと息を止めて行う運動のことです。この運動は酸素を吸わないかわりに、筋肉が体内の糖質を
エネルギー源として消費します。また、無酸素運動のもう1つの重要なポイントは筋力をアップすることで、
普段からこの糖質が消費されやすい体に変わるということです。これを基礎代謝が高まるといいます。
基礎代謝が高くなれば日常生活を送っているだけで消費するカロリー数も増えるわけです。 - ストレッチは、上の2つを行ううえで、全身の筋肉を伸ばし、体を柔らかくするためにやっておきたい運動です。
- 最初からはりきると続きませんので、無理をせず、継続的に行うことが重要です。