- メタボリックシンドローム。メタボとも略され、どういう条件に該当するとメタボリックシンドロームなのか、またその予備軍はテレビでも盛んに取り上げられてますよね。でもその実態ってどういうものなのでしょう。そこでここではメタボリックシンドロームについて考えていきたいと思います。
- メタボリックシンドロームとは
- 症候群という言葉は、そもそも医学用語で病気の症状がいくつかまとまっている状態を指す言葉で、メタボリックシンドロームを日本語に直訳すると『代謝異常症候群』といい、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態と定義されます。
病気ではないため具体的な症状があるわけではありませんが(検査の数値については後述)、10年後の虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の危険度が、正常な人に比べ36倍も高くなるほか、内臓脂肪蓄積の結果、尿酸の産生が過剰となり、高尿酸血症が約70%に認められます。また非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も高率に発症し、放置すると2割が肝硬変に進展するといわれていて、多数重積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まります。 - メタボリックシンドロームになりやすい生活習慣
- 現代人に多い、過食、高カロリー、糖分、脂肪過多など、食事によるもの。またそれらのカロリーを消費するだけの運動を行っていない。運動不足によるものです。そのため、皮下脂肪として蓄積され、内臓型肥満などを引き起こします。
- 具体的になりやすい生活習慣としては、
- 食事は満腹になるまで食べる
間食をよく取る
料理に砂糖をよく使う
濃い味付けが好き
緑黄色野菜をあまり食べない
アイスクリームを好んで食べる
普段から階段を使うことが少なく、エレベーターなどに乗ってしまう
運動の習慣がない
ストレス解消にお酒を飲むことが多い
タバコを吸っている - などが挙げられ、上記の項目に多く当てはまる人は生活習慣を見直す必要があるでしょう。
- メタボリックシンドロームの基準
- 内臓脂肪の蓄積(ウエスト周囲径の増大)が必須条件で、これに加えて脂質代謝異常、高血圧、高血糖の3項目のうち2項目以上を満たす場合に、メタボリックシンドロームと診断されます。内臓脂肪蓄積型肥満=男性型肥満ともいわれている上半身型肥満=リンゴ型肥満に対して注意が呼びかけられています。一方女性型肥満といわれている洋ナシ型肥満、これは下半身型肥満ともいわれ内臓肥満とはとらえられていません。
- 診断基準
- 内臓脂肪蓄積
ウエスト周囲計・・・男性≧85cm 女性≧90cm
内臓脂肪面積・・・男女とも≧100㎡に相当
上記に加え以下2項目以上
高トリグリセリド血症≧150㎎/dl
低HDLコレステロール血症<40㎎/dl
収縮期血圧≧130㎜Hg
拡張期血圧≧85㎜Hg
空腹時高血糖≧110㎎/dl - 治療法と予防法
- 治療方法
標準体重をめざす大幅な減量は必要とせず、現体重またはウエスト周囲径のマイナス5%程度を目標に、3~6カ月かけて緩やかな減量を継続させます。 - 食事療法・・・摂取カロリーの制限、栄養バランスを保つなどの基本は、肥満の治療と同じです。ただし、内臓脂肪が蓄積している人の食生活には、間食が多い、緑黄色野菜が少ないなどの特徴があるので、食事日記などを毎日つけ、食行動のチェックで、問題点をはっきりさせましょう。
- 運動療法・・・内臓脂肪を減少させるのには、習慣的に継続させることが重要です。とくに、内臓脂肪型肥満の人は、日常生活の運動不足が目立つので、生活に合わせて活動量が増えるような工夫が必要です。例えば、万歩計を使って1日の活動量を把握し、1日2割の歩数アップ、10分程度の持続を目安に徐々に増やすようにします。食事制限だけでは筋肉も減ってしまい、代謝も落ちてしまいます。運動もセットで行うようにしましょう。
- 禁煙・・・内臓脂肪型肥満では、喫煙者の割合が多いという特徴があります。喫煙は、動脈硬化性疾患の危険性をいっそう高めるので、すべてのケースで禁煙が必要です。
- 予防法
メタボリックシンドロームの予防はなんといっても内臓脂肪をためないこと!既にその兆候のある人は
過食や運動不足などの生活習慣を改善し、少しずつ内臓脂肪量を減らしていくよう努めましょう。
メタボリックシンドロームの人は、10年後の医療費が正常の人の3倍高くなるというデータもあります。
内臓脂肪をためこんでもいいことなんてありませんよ。 - ★平成19年から始まる特定検診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)では、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行うことをめざしています。すべての健康保険に特定健診の実施を義務化するとともに、メタボリックシンドローム該当者または予備群と判定されたものに対して特定保険指導を行うことも義務づけられました。5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者には財政的なペナルティが課せられます。
- ☆今の日本の中年男性の半分近くがこの「症候群」またはその予備群に該当しているそうです。今のうちに気をつけておかないと将来大変なことになりかねません。生活習慣を少し見直すだけで予防できるのだから、自分のため、家族のために要努力ですね。